ブッシュクラフトの旅 二日目
「現在、右手に見えておりますのが金華山でございます」
という船内アナウンスにわたしのカラダが反応し、ガバッと起きる。
寝ぼけてるっ…ていうか、まだ酔っぱらってるw状態だけれど何故か「見なくちゃ!」と、必死に着替えて外に出る。(居心地が良過ぎていつもどおり全裸で寝ていた)
「…で、金華山ってなに????」
反応したものの、金華山が何か、知らない。
後に調べたWikipediaによると
『金華山は、島全体が黄金山神社の神域となっており、地場の信仰の対象として有名である。恐山、出羽三山と並ぶ「奥州三霊場」に数えられている。「三年続けてお参りすれば一生お金に困ることはない」という言い伝えがあり、参拝客を集めている。』
とのこと。
なんだ?参拝に行けってことか???
そのときのアタマはまだ何も理解していなかったけど、勝手に反応したドコカには、きっと必要な景色だったのだろう。
天気が良くて気持ちが良いぞ〜!
ウロウロしていたら日の出を見たあと仕事をしていたという夫を発見。
この船(きたかみ)には展望室があってこんな景色を見ながらゆったり出来るのだ。
素晴らしい。
まだ酒が残ってるので朝風呂でスッキリしましょう。
こんなことが出来るのも船旅の素晴らしさ。
それでもまだまだ着岸には時間があるのでわたしもお仕事。
糸績みしましょーね。
そんなこんなで仙台とうちゃーく
数十時間ぶりの大地に梅吉もホッとした様子
「あ〜やっぱだいちをふみしめるってだいじだわ〜」
ストレスを解消するためにも出来るだけ遊んであげます。
旅行って辛いだけじゃないぞ、楽しいんだぞ、梅吉!
この日は仙台で映画を観る予定。少し時間があるので観光しましょうか!!
じゃじゃーん
「なんか、すごいいっぱいのひとにしゃしんとられてるんですけど…」
「わー、可愛い!わたしも写真撮っていいですか〜?」と周りから声がかかり
一瞬、梅吉撮影大会に…
黙って写真撮られる犬なんですよね。重宝。
おぉ?
このかたは…名前忘れたわ!!(失礼)
正宗公の…側近???だっけ?
お似合いですぞ。
無理矢理感が否めない一枚。
松尾芭蕉さんもおられましたぞ!
シャッター時の台詞は「おくの〜ほそみち!!」
「かーちゃんは 『どくがんりゅうまさむね』っていうどらまがだいすきだったんだって」
山並みも美しかった。
「おきつねさまみたい?」
さ、ここで昼食をとっておきましょう。(夫のみ)
パスタを茹でて、イナバのチキンカレーをのせて。
さて、映画。
観たのは『サバイバルファミリー』。
元々観るつもりではあったのだけど札幌ではなかなかタイミングが合わず。
明日から受講する「ブッシュクラフト」の講師である川口さんがサバイバル術等で撮影協力しているとのことで、受講直前になってしまったけど観ておきましょう、と。
はい。
みなさん、一度は観たら良いと思います。
矢口作品なので単純に「面白い映画」です。
わたし的には単純に面白い、だけじゃなくすごーく身に沁みたというか
映画とはいえ他人事じゃないというか。
世界中から電気が無くなったら?という設定は、わたしとしては「笑えない」んですよね。
ここ半年くらい、わたしの中で「イザという場面」は必ず来る!みたいな予感があって。
何があるかはわからないけど、何かがあるぞ、そんな感じ。
だから割と必死だった。「自分は、何かあっても大丈夫なようになっておこう」って。
だから映画も娯楽としては面白いけどどこかで「笑い事じゃねーぞ」ってのもあって
ひとつひとつ「わたしだったら?」って考えながら観てた。
途中、アウトドアに知識も技術も道具も長けた、「こんな状況も楽しみましょうよ」って平然と生きている家族が出て来るんだけど、
まぁ、楽しめるかどうかは別として
電気が無くなっても
住む家が無くなっても
食べ物が無くなっても
水道が無くなっても
「わたしは生きのびれるかな」って思った。
過酷な状況にパニクらない、耐えられる精神力とか
最後まで動ける体力とか
そのへんは、実際のところはわからないけれど。
覚悟は出来てるし、ある程度の準備も出来てる。
あとはもっとスキルアップしてそれこそあのイヤミな家族のように「楽しんでサバイバル」出来れば。
そのための今回のブッシュクラフト受講でもあるのだ!
よーし楽しむぞ!!
意気揚々と仙台出発。
いよいよブッシュクラフト会場である茨城を目指します!!
が、さすがに仙台から一気に茨城はキツいので途中まで、行けるところまで。
「『こめり』っていっぱいあるな。なんだろう。にわとりがかわいいぞ。」
高速は使わず海沿いの道を走る。
これも、今回の目的のひとつ。
311以後東北に入るのは始めて。
ニュースはもちろん
支援に行った知人のブログ、SNS
いろんな場面で「被災地の様子」を見ては来たけれど。
そして6年が経って、復興は進んでいるのかもしれないけれど。
自分の眼で見る、被災地の様子。
明らかに畑ではない、どこまでも続くまっさらな土地。
並ぶ仮設住宅。
クリーニングを続ける。
もちろん、クリーニングは自分の記憶を消すものなので、その土地に居る必要は無い。
いつでもどこでも出来るけれど。
実際その土地に入って、見て、感じて、クリーニングしていく。
わたしの被災の記憶。
わたしの中にはハッキリと「水の中に沈んでいく」記憶がある。
それをアトランティスの記憶だという人も居る。
絶望の中で沈んで行く自分。
わたしは未だに水族館に行けない。
「水の中の様子」が恐怖でしかない。
ハワイで何も考えずシュノーケリングしたとき心臓が破裂しそうになった。
それと東北は関係無いかもしれない。
でも福島のことも、わたしの記憶でしかないから、とにかくクリーニングする。
雪様も真剣。
とにかく、わたしの中の震災の記憶をクリーニングする。それだけ。
日も暮れて来た。
途中、「ここから高線量地域」的な(正確ではないかもしれない)看板が
そしてデジタル計が目に入る。
「2.8μSv(マイクロシーベルト)」
この数値がどの程度「高い」ものなのか
どの程度「人体に影響を与える」のか無知なわたしにはわからなかった。
おそらく避難勧告が出された地域なのか
気がつけば並んでいるどの家にも電気が着いていない。
街の中も。
それがずっと続く。
人気(ひとけ)の無い街とはこういうものなのか。
そして『福島第一原子力発電所』という看板。
ここには電気が着いており車があり人気があるという皮肉。
いろんな想いも湧き出て来るが
わたしがすることはクリーニングだけ。
「わたしの中を平和にすること」。
少しずつ道路も広くなり明るくなって来た。
駐車場に入ると早々に寝る準備(エアベッドに空気を入れる)をして、夕食(宴)。
北海道から持って来たものがけっこうあるので今回は何も買い足さず。
写真がぼけぼけだけれども
稚内のかまぼこをやいたり
エビスビールとブラックニッカと共に。
車内の電気(車載バッテリー)を使わなくてもエネループ(太陽で充電)の照明で充分明るい。
犬と一緒に旅をする。
最高じゃ!!
梅吉も疲れたね。
おとうちゃんも運転ありがとうね。
ふたりとも、ゆっくり休んでね。
いろんな想いが渦巻きクリーニングをして
二日目、終了。