ゆだねきる旅 9日目<長野県 安曇野〜小川村>
朝方、予想通り寒く&小雨も降って来たのでお父ちゃんと梅吉もノア子の中に。
『やっぱりしつないがいちばんだな』
若干ワイルドさを帯びて来た梅吉だけど、まだまだおぼっちゃま。
おぼっちゃま過ぎて、飼い主に対してこのような態度である。
ま、とーちゃんも爆睡してるから、いいか。
この日も特に約束は無いので、起きてから「どーしよっか♡」
小雨は降ってるけど、このブッシュクラフトに最適な環境、逃す手は無いでしょう!!
というわけで駐車場奥に広がる森に入り、枝を広いながら野営地を探す。
適度に奥、適度な広さ発見。
落ちている枝を使い、シェルターを建てる。
わたしはその間、焚き火に使うしばかり。
穴を掘って、焚き火の準備。
雨の中、濡れた枝になかなか火はつかないけれど。
父ちゃんが火起こしの間、わたしは食材の下ごしらえ。
まな板にもなる皿、便利。
調理開始、といってもただ待つだけ。
何故か梅吉はシェルターの中に入らず、雨に打たれながら寝ている。
静かに落ちる雨
濡れる樹々と葉と土のニオイ
鳥達のさえずり
揺らめく炎
この、何も無いけど全てが有る、
この、時間が大好き。
いつまでもこうしていたい。
そうこうしている間に
ごはんが炊きあがりましたよー!
お味噌汁と、野菜炒めを作って
あとは納豆と酢大豆で召し上がれ〜
雨だろうが寒かろうが
外に身をおいて、火をおこして、過ごす
それだけのことがどーしてこんなにシアワセなのか。
最後は火の始末は入念に!!
焚き火の跡がそのままなんてのは言語道断。
「元のとおりに戻す」!これ鉄則。
もう、ここでずっとこうして過ごすってのも悪く無い、というくらい居心地の良い場所なのだけど
昨日思い出した、「行ってみたかったところ」に、行ってみましょう。
地図見たらすぐそこだし。
というわけで到着した『安曇野市 天蚕振興会』
なんと休館日ーーーーーーーーーー!!!!
盛大にずっこける。
そうか、今日は月曜日か、、、、、。
旅前からアポを取っていた富山の天蚕農家さんとも全く連絡とれないし
今回は天蚕は縁が無いんだな〜。
仕方ない。
今は家蚕に集中だ!!
こちらも近くだった
穂高神社。
この頃にはひどい土砂降り&ひどい寒さで、とりあえずご挨拶だけ済ませて退散!!
道路を走っていると、時折見かける『大王わさび農場』という看板。
昨日見かけたとき、「わさび農場、見てみたいな」と言っていたのだけど今日はあまりの雨、
夫に「ホントに行くの?」と聞かれ悩んだものの「とりあえず、わさび畑がどんなものか見てみたい」と、行ってみる事に。
この時点では、本当に「わさび畑を車の中から見てみる」くらいの気持ちだった。
道沿いに、畑があるんでしょ、くらいな。
ところが
看板通りに進むとドデカイ建物に続々入って行く人々、巨大な駐車場には警備員さんが何人も。
????????????????
わさび農場じゃないの?これ、なんのアミューズメントパーク???
これが、この立派な施設こそが
『大王わさび農場』なのだった!!!!!!
びっくりし過ぎて笑う我ら。
「え、わさびでしょwww わさびでこの建物ってwwwww」
「なんでわさびにこんな人集まってんのwwww」
この時点で、かなり小馬鹿にしております。「たかがわさび」と。
これから衝撃の連続、最後にはその「たかがわさび」に見事ノックアウトされるとは、夢にも思わず。
とりあえず、建物の看板を眺めていると
『わさび漬け作り体験』という文字発見!!
一日二回の体験、一回目の開始時間が、なんと10分後!!!!
ぬおーーーーーーーー!!!!!!!
昨晩、本場のわさび漬けをおつまみにいただき、その美味しさに感動していた我ら。
これはダッシュで申込ぢゃ〜〜〜〜〜!!
というわけで、入場していきなりわさび漬けをつくることに。
すげータイミングだな。
講師のかたが、とても丁寧に指導してくださる。
まずは材料を切ります。
わたしたちがわさびと呼んでいる部分は、茎と区別するために「芋」と呼ぶのだそーだ。
塩をパラパラ
キッチンペーパーを被せて
軽く叩いて水分を出します
とんとんとんとんとん
流石ドラマー、リズムが良いですな
酒粕を調味したものに
混ぜまーす
ねりねりねりねり
出来上がったらフィルムに包んで
箱などもしっかり準備されているので
箱を組み立て、包装まで
シールも貼って
Myわさび漬けの出来上がり〜♡
酒粕にわさびの香りが移る2〜3日置いた頃が食べごろ。
逆に2週間以上置くと、逆に香りが飛んでしまうので、それまでに食べきりましょう。
いえーい、単純作業だけどめっちゃ楽しかった♡
併設の売店ではわさび漬け(かなりの種類あり!)はもちろん、わさび味のあらゆる食べ物が売っていて圧巻である。
写真撮ってないのでうろ覚えだけど
我らがどれにするか悩んだ
わさび茶漬け、わさびマヨネーズ、わさび塩コショウ(結局塩コショウを購入、その後の旅飯で非常に役立った)
わさび煎餅、わさび饅頭、わさびポテチ、わさび柿の種…まぁとにかくコンビニに売っているようなもの、全てわさび味であります!的な。
世の中にこんなにわさび味のものってあったのね…
まぁ、なんにでもわさび入れちゃえば良いって話だけど、実際作っちゃう売っちゃう、しかもガンガン売れちゃうっていう
心意気と現実化に感動。
余談。。。。
二人が着ている服は、塩尻のマツコちゃんに借りたものです。
「北海道から行くんだから、あったかいべ」と余裕ぶっこいて
着物以外はTシャツにもんぺ、母上が捨てようとしていたフリースのパジャマ(旅の途中で要らなくなったら捨てようと思っていた、が、6月現在も愛用している)以外持って来ていなかったのだ。
長野に入って「やばい。普通に寒い。」と焦り、まつこちゃんに「何でもいいから服貸してくれーーーー!!」とお願いしたのであった。
そして、非常に助かる、というかこれ借りてなかったら一通り購入せざるを得なかった。
ダウンからジャージからズボンまで貸していただいて、、、ありがたい!
我々夫婦がほぼ同じサイズで良かった!!
さて
ちょっとゆっくり散策してみますか。
雨なので「いえ〜い♪」って走り回るわけにはいかないのだけど
久々に相合傘で、ゆるゆると。
そして
いきなり発見
このわさび農場に、皇太子時代のお二人がいらしていたとはー!
こちらの御休息所にて休まれたそうですよー(立ち入り禁止)
農場内に設けられた岩屋は魏石鬼八面大王が住んでいた有明山麓の宮城(みやしろ)の岩屋を再現したものだそうである。
この件だけじゃなく、ここの魅力は衝撃はまだまだ続く。
雨のせいもあって(そしてまだまだ旅の過程をなめてる)写真をそれほど撮ってないのだけど神社やら、祠やら、名水の滝やら、
ちょいちょい我らの心をくすぐる作りになっておる。
とにかく「楽しい」のだ。
通常、この天気でわたしがお外を楽しむことは有り得ない。(傘を持つのが嫌い)
しかし、「次はナニがあるんだろう!?」というワクワクがテンションをあげている。
敷地自体がなんまら(なまらの最上級)広大なのだけど、とにかく圧巻のわさび畑。
日本中、いや世界中のわさびがここで育っているのではないか。
どこまでいってもわさび。
とにかく全てがわさび。
こんなに必要なのか、わさび。
わさびといえば蕎麦である。(そうか?)
長野のわさび農園に、趣のある蕎麦屋があることは充分納得する。
が洋風のレストランも発見。
そこのメニューがまた衝撃。
『わさび丼』、『わさびちらし寿司』、くらいはまだ「なるほどね」だが
『わさびオムライス』に『わさびカレー』、しかもしっかりと緑色。
わさびonlyでここまで出来るのか。
ていうか、それ、マジでやっちゃうの!?
「たかかわさび」などとはもう言えない!
半笑いで小馬鹿にしていたのに、ここに満ち溢れている『わさび愛』に完全にやられつつある我ら。
本気ってスゴイ…
あらゆるわさび味を試してみたいが、お腹はすいてないので、味は想像するばかり。
道行くひとがほとんど食べている「わさびソフトクリーム」の売り場発見、これなら!
甘いものにはそれほど興味が無いわたくし
「わさびビールあればいいのにwww」
適当にほざいたら有るではないか!
Σ(゚Д゚)
こ、これは(✽ ゚д゚ ✽)
試してみないば。
というわけで
わさびおやき
わさびビール
わさびソフトクリーム
んー
ソフトもビールも特にわさびの味はしませんでした!
てか、わさびって味というより香りだもんね。
しかし、この溢れるわさび愛にノックアウトされた我ら、
最初は眼中に無かったわさび記念館なるものも(「わさび記念館てwww」と爆笑していた)
「是非見学しましょう、いえ、させてください!!!!」に。
「結びにあたって」
あれ?出口から入っちゃった?
しかし!!!!!!
この最後のメッセージ
わさびから水、水から自然への、この想い、本物の愛に完全ノックアウト。
わさびはきっかけのひとつなんだね…
ここは、人間にとって、生き物にとって、どれだけ水と自然が大切なのか、感じでもらう場でもあったんだね…
なんかね、本当にいろんなことを考えさせられたよ。
「わさび」
このひとつの植物、食物で
これだけ人を楽しませて感動させることが出来ること。
土砂降りの中、来る人は途切れなかった。
園内の働く人も来場者もみんな笑顔だった。
ここにあるのは、ひとを動かすのは
愛、だよねぇ。やっぱり。
猛烈に感動しながら、そして「また晴れの日にゆっくり来たい!」と宣言しつつ、次へ。
安曇野も名水の地、水くみに〜
どこへ行ってもお水には困らなかったな。
結局一度も水道水をタンクに入れることはなかった。
ありがたい。
さて、行けるところまで行きますか!
途中に地元の野菜が買えそうなお店があったので寄ってみたら
ついに実物発見
うおー(蚕の)さなぎの佃煮が普通に売ってるぅぅぅぅΣ(´∀`;)
いなごは食えるが蚕は無理ぃ
いつか食えるようになるのかなぁ…
そんなこんなで到着、
美麻村。
美しい麻。
名前が既に素晴らしい。
長野に来たからには一度は食べたいお蕎麦、この機会にいただきましょうか。
こちらにしました
「山品」さん
蕎麦も育ててますよ
山菜盛りと蕎麦茶でひといき。
わたしは鴨せいろ。
たまの外食、おとうちゃん、美味しいかい?
わたしはそれほど蕎麦好きでもないので通好みな感想は言えません(笑)
が、完食したってことは満足したんだと思います!
美麻村へ来たのはこんなものがあると聞いたから
でーーーーーん
その名も「麻の館」
村名のとおり、麻の産地(だった)んですな。
地域おこし協力隊の方々が地元の大麻復活にむけて頑張った結晶がここに。
(しかし今となっては、その「他所から来た地域おこし協力隊が地元の大麻復活にむけて頑張る」ってのは完全に鬼門であるという残念な事実)
あー、この麻柄シェード欲しいなぁ
大麻の栽培から収穫、精麻作りまでパネルで紹介、長野(美麻?)式は、わたしが学んだのとまた若干違って面白かった。
やっぱりその土地で違うんだよねぇ。
と言うくらい、大麻栽培は全国で当たり前だったということです。
おがら壁、良いな。
窓の目隠しにも。
わたしの大好物、蝋人形での再現コーナーも♡
庶民の生活と大麻、糸づくりと織りは切っても切り離せないものなのです。
ほんとうに、生きるためにどれだけ衣服が、布が、糸が、それを作る植物や動物が大切だったか…
「大麻繊維の他に替えがたき独特の長所が見直されつつある」
そうなんですよ。
またここで大麻のことを熱く語るとキリが無いのだけど、
わたしが大麻と絹の糸をつくる、というのはとーーーーっても重要な意味があるのだ。
ま、とにかく作ります。
結果はそれからだ。
おとうちゃんはまだ車でオシゴト(どこでも仕事が出来るITってすごいねー←棒読み)
なので、梅吉とお山にお散歩。
どこまでも続く田舎風景に癒やされる。。。
田舎、っていう言葉はわたしにとって最高の褒め言葉なのだけど、住んでる人にとっては失礼なのかな。
おとうちゃんのオシゴト終わり、美麻村からお隣の小川村へ。
あっ、神社があるよ!
わぁ、素晴らしいね!
地元のひとに愛されてる神社…ていうかね
人が神社に集い敬い、神様が人を愛し護り、それが循環している神社って、すぐわかる♡
(逆にいえばそうじゃない神社もあるってこと)
小川村に来たのは
服も貸してくれた塩尻のマツコちゃんと呑んだときに、「夏場にお手伝いにいく農家の収くん」の話を聞いたから。
そのとき既にすっげー酔っ払ってたんだけど(笑)
「東京っ子の収くんが農業をやろうと思ったのは麦が踊ってるのを見て感動したからで、だから収くんの農園は『麦ダンス農園』っていうんだよ。いつかその麦でビールを作りたいんだって」
この話を聞いてへべれけなわたしは「その人に会いたい!会いに行く!!」とマツコちゃんにお願いして、連絡してもらったのです。
いま時期の農家さんが多忙なのは重々承知。
会えたらいいな、くらいのつもりだったのだけど
無事会えました♡
その場にいた(彼もお手伝い)ジョンさん
なんと翌日会うまっこさんともお知り合いとのことで「やだー、また繋がっちゃったー(笑)」
忙しいのに、いろいろお話きかせてもらいました。
小川村がとっても良い土地なのと
『麦ダンス農園』というなまえ
大沢収くんのひととなり
なんか、いい!会えて良かった!
小川村でビール作ってね!!!
今年から羊を飼い出したそう
ほら、梅吉、羊さんだよ
『こんにちは!ぼく、ほっかいどうかきたんだよ!』
『よくきたね、ながのはたのしいかい??』
この羊さんたちはお肉になるので、刈った毛の使い道に悩んでいるとのこと。
絶対誰か欲しいひといると思うんだけどなぁ。
洗う手間さえなければわたしも欲しいくらい(汚れた羊毛を洗うのはほんんんんんとうに大変なのだ!!)
わたしはこの旅で会えた人に一個ずつ渡していこうと夕張メロンゼリー(今思うと何故これだったのか。日持ちしてかさ張らないという理由だったのだけど)を用意していたので、それとよなよなエール、
収くんからは在来種の「西山大豆」をいただき、ここから物々交換も始まるのだった!
この西山大豆がおいしいのなんの。
大豆ってこんなに味あったんだー!というくらい。
早速戻って来て植えたよね。
翌日、白馬に行くことを伝えると
ここから眺めるアルプスも美しいとのこと。
しかーし、行ってみたらもう夕暮れ&雲で全く見れず(;O;)
で、今日はどこに泊まる???
さっきの美麻村の道の駅は温泉があったから、そこにしよー!
温泉であたたまり
車内クッキング&車内宴開始〜♪
こごみモリモリー!
本日の一本
おくらみょうがなっとう こごみ ればぺ
二次会
ここも満点の星空
『はぁ〜
きょうもみちみちにじゅうじつしたいちにちでしたねぇ』
おつかれ、梅吉。
おつかれ、とうちゃん。
きょうも楽しかったね。しあわせだったね。
あしたはなにがあるんだろうね。
おやすみなさい。
つづく。