あ し あ と 。

生きてます。自由に。

チセを建てる〜その四 木材を運ぶ

いよいよ

二風谷で伐った樹々を新十津川のシピラサコタンに運ぶ日がやってきました。

 

運び出す前日(6月1日)は

レラさんのチセでカムイノミだったので久々(といってもバリ行きや仕事で3回休んだだけだけど)に参列。

 

毎年5月の末日は幣場のイナウを全部取り替えるのだけど、今年はレラさんに不幸があった(お兄さんが亡くなった)ので、やらないのだとか。

 

毎年沢山のひとが集まる6月1日

幣変えは無くてもやっぱり沢山のひとが集まりました。

 

いつも男性が少ないので、こんなに多いとなんだか盛り上がる〜

最後に神の拠り所だったイナウを燃やす。

この炎の写真を見たレラさん「観音様が龍の子を抱いている」。

 

人が集まると宴が始まる。

 

明日の作業のための準備をしようと思ったのだけれど

ひとりで片付けをしていたら

「今日は(夫は)完全OFFにしなければダメ」と上から指示があったので、仕事は止めにして早速宴の準備。

 

お酒や魚や肉を仕入れて

長い夜のはじまり(明るいうちから呑み始めたけれど)

 

このチセにはたくさんの存在がいる。

生きているエカシ

霊魂のエカシ

酒を酌み交わす。

 

見事な蝋の垂れ具合。美しい。

 

 

 

「雪ちゃん」

 

中川エカシが珍しくわたしの名前を呼んで話し出した。

 

「あの新十津川の土地にチセを建てるということは、ただ『建てる』ということをするだけじゃないんだ。

 

建ててから、それからが、一番重要なんだ。

 

とても、すごく、責任重大なことなんだぞ。」

 

 

わたしもエカシも酔っていたけど

こんなようなことを、力説された。

 

ヘラヘラしていたわたしもハッとしてこの時ばかりは背筋を伸ばして

「はいっ!わかってます!」と返事をした。

 

わかってるのか?ホントに…

と自分で突っ込みながら

 

「確かなナニカ」はわからないけれど

「ただ建てるだけじゃない」というのは心の奥底でわかっているので

覚悟は出来ているつもり。

 

これは伝説になるんだ。

 

 

もっともっとエカシ達と語りたかったけれど

 

さすがに翌日のことを考えて酒は控えめ(どこがだ)にして就寝。

 

 

 

 

 

翌日

 

日本酒ガンガンいったわりに二日酔いにはならず。良かった〜〜〜w

 

よーーーーし、働くぞ!!

(主に写真撮影係として)

 

 

今回(限らずだけれど)

木を運搬することについて夫がFacebookなどでいろいろ呼びかけたり投げかけたり質問したりしていたら

たくさんの人がアドバイスをくれた。

 

そして、なんと直接電話をくれて

「4トントラックのロング、出せるよ。運転手(俺)付きで。」と申し出てくれたのが

新篠津の「つちから農場」の中村さんだった。

 

なんとありがたい!!!!

神様が降りて来てくれたかのようだーーーーーーー!!

 

そして、その、4tロングが二風谷に到着。

 

『でっけーーーーーーー!!!』

 

 

中村兄貴ー!ほんとーーーーーーにありがとうございます!

『おれだっておとこだぞ。なかまにはいりたい、、、』

 

 

 

さて、いよいよ積み込み作業。

 

軽トラと滑車を利用して、滑らせる作戦。

 

ぎゅぎゅぎゅーーーーん!!

キャリ太郎、がんばれ!!

 

おぉっっ、一本目、なんとかスムーズに荷台へ!!

よし、この調子でどんどん乗せていきましょー!!

 

昨日のカムイノミのときに、作業のことを伝えていたので沢山の方々がお手伝いに来てくれました!!

若い男の力って凄いわー。

もう、超助かるんですけど!!!!

 

事前にいろいろ道具やら機械も用意してたんだけれど

なんだかんだ言って、結局はマンパワーが一番。

 

自然の中だとマンパワーも馬力(人力か)倍増!

樹々が応援してくれているのかも!

 

ぱわー とぅ ざ ぴーぽー!!

 

 

『おれ、どこにいるか、わかる?』

 

 

 

さて、わたしはといえば写真を撮るだけじゃなく

みなさまの食事の準備などもしなくてはなりませんので森から途中退出。

 

 

母屋へ戻り、レラさんにいただいた熊肉でカレーを作るぞ。

 

野菜を切りながら

「やーや、女はこういう力仕事のとき、なんもやること無いねー。」と笑っていたら

 

「雪ちゃん!」

昨日の中川エカシみたいに、また名指しで語られた。

 

「そうじゃないんだよ!

 男ってのはね、いくら婆だろうと、女がそこに居るだけで張り切るんだ。

 若い女ならいい所見せようって色気で頑張れるし

 婆なら「こんなことも出来ないのか」って思われたく無くて頑張る。

 これは、うちのおふくろから聞いた。

 だから、雪ちゃんもちゃんと現場に居ないばダメなんだ。」

 

 

そ、そっか。。。そういうものなのか。

 

では、カレーは早々に仕上げて現場監督へ戻るでござる。

 

 

 

だいぶ積めたね〜、

そしてだいぶお疲れだね〜〜〜〜、、、

 

 

さぁ、お昼食べて休憩して

(チセの炉にカレーを半分こぼすというアクシデントがあったものの、なんとか。)

 

 

午後もがんばるぞーーーーーー!!

オラッチが見てるからな〜!がんばれよ〜!!

わたしが色気なのか婆なのかは受け取る男たちによるだろう…w

 

 

大物が済んだので、人手でなんとかなるものは

 

サイドから上げたり

 

リレー方式でどんどん積んだり

 

なんとか最後の一本を積み終え、固定っ!!

 

あとは、少し足りない材をその場で調達

(前日のカムイノミでレラさんが「屋根材が足りないって(上が)言ってるよ」と言って、そのとおりだった。びっくり。)

 

さぁ、全て積み終わりましたーーーーー!!

最後まで居れなかったかた、写真に写っていない方もおられますが

 

とにかく

みなさま、お疲れ様でした!

 

人が多かったこともあり、予定よりずいぶん早く積み終わったので

(二風谷で一泊して、翌朝新十津川へ移動の予定だったが)

この日のうちに新十津川へ行ってしまいましょー!

 

車4台、人間5人で大移動。

 

わたしは中村さんが運転する4tの助手席♡

こんなでっかいトラックに乗るの、初めて!

高いから乗るのタイヘーン!視界が広ーい!サスペンションがすごくてめっちゃたてノリー!

運転席の後ろに寝るスペースあるー!テンションあがるー!

 

中村さんとの楽しいおしゃべりもあり

3時間の道のり、あっという間でした。

 

今日の作業中、ポンペさんが転倒して首と腰を打って痛めてしまったのだけど

カイロプラクティショナーであるるみこさんが居てくれたおかげで、早急に処置が出来て良かった。

夫もわたしもいつもカラダのメンテナンスはお世話になっていて

本当に助かる。

※今後はシピラサコタンで皆さんにもるみこさんの施術を受けてもらえるよう、部屋も整えていきますよ!

 

 

この日はホテルグリーンパークの温泉に浸かり、ホテルグリーンパークのあなどれないごはんを食べ

中村さん差し入れの焼酎「なかむら」をいただき、おやすみなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ついに

我らの土地に、チセのための材が来たー。

 

なんか、感無量。

 

この土地を、今度はわたしたちが管理することになって約一年。

この土地に、チセを建てると決まってから8ヶ月。

 

ものすごいスピードで

ものすごい質量の体験をしてきた。

 

なぜ新十津川の土地なのか

なぜ二風谷の木樹なのか

なぜ今なのか

なぜわたしたちなのか

 

考えても仕方ないし答えなんかどうでもいいんだけど

 

 

 

 

 

とにかく

 

とりあえず、

 

 

ここまで来た。

 

感無量。

 

 

 

 

チセが建つ予定の場所に立派な柳の木があって。

流石に掘って植え直しは無理なので挿し木で命を繋いでいただくとして、元は伐らせていただくことにした。

 

この日も、前日も手伝ってくれた二風谷の方数名が応援に駆けつけてくれて…

 

ありがたすぎてどうしたらいいかわからん(´;ω;`)

 

ででーーーーーん

すごい、、、、

 

 

昨晩、ポンペさんが

「ちゃんとオンカミしなかったから、俺が(実は夫も)怪我したんだ、作業の前にはちゃんとオンカミしないばダメだ」と何度も言った、

 

のに

当日になったら全て忘れて作業しだして、、、、

 

ちょっとしたスキにわたしが足を怪我しそうになって思い出して。

「オンカミしよーーーーー!!!!!!」

 

 

はてなブログ、動画アップ出来ないのでアップデキナイノデスガ(かといってYouTubeにアップするほどでもなし)

ほぼほぼこの作業、動画で撮ってて。オンカミも。

ま、いずれ記録として繋げますけど!

 

オンカミとはアイヌの「礼拝」。

両手を重ね合わせ左右に振ったあと、手のひらを上にして天にあげる。

男性だけが行う。

 

作業の無事を祈って。

 

さぁーーーー!!

 

あとはガンガン降ろしていくだけですよぉ−!!

 

奇しくもこの日は畑を起すのも手伝っていただけまして

 

シピラサコたんの始まりの一日なんだなぁ。という

更にまた感無量になりまして。

 

こうしてひとつひとつ作業していたことがカタチになって

数年後、数十年後に語り継がれて行くんだ。。。

 

わたしも今際の際にはこの「創始時代」の写真を見て「こんな時代もあったんだねぇ」なんて言いながら死んで行きたい。

 

お昼ごはんはレラさんがくれた「ししゃもの親戚」と熊肉の天ぷら、ウドの酢味噌和えなど。

調理器具や食器、調味料も何も揃ってない状態での大量の調理はなまら大変だった!!

これを機に、「何も無い小さな暮らしは」自分たちのためのことであって、

沢山のお客様を迎える母屋はちゃんと、ばっちり、設備を整えよう!と決心しましたよ。

夫撮影の料理写真。

わたしはいつもそれどころじゃなくて料理写真を撮れないんだけど、、、、

なんていうか、雑な写真。

本人にも「あなたは写真のセンスが無い!」といつも言っているが

「料理を美味しそうに撮る」とか、「みんなの楽しいひとときを切り取る」という意志が全く感じられない。ひどい。ひどすぎる。

でもこういうの(センス)は本人の努力でどうにもならないので我慢するしかないのだ。。。。

 

 

と公然と夫の悪口を書いたところで

 

午後も作業です。

 

おろすのも軽トラが大活躍!

丸太ー滑車ー木、

滑車の先は軽トラに繋げて

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ぎゅぎゅーん

ずりずりずり〜

 

 

こうして大物も無事終了、

 

トラックの位置をずらして

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人力でどんどんおろす

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力仕事は若いモンに任せて

エカシたちは黙々と皮むき。渋い。

 

そして、ついに最後の一本にー!

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いやぁ〜よく頑張った!

 

木を伐る時点から、「どーすりゃいいの?」の連続で

いったいどうなるのだろうと思っていたけど

どうにかなるもんですね!!

 

とにかく、みなさまのご協力があって、なんとかなりました。

 

本当にありがとうございます!

 

 

 

次は、いよいよこの木達が、柱として立ち上がります!!

 

その前に整地したり穴掘ったり、、、、

 

これまた「どーすりゃいいの?」の連続です。

 

手探りで進むチセづくり、

これから新十津川編です。

 

 

 

つづく