ゆだねきる旅 12日目<群馬県>
うるさいくらいの鹿の鳴き声で目が覚めた。
お外でひとりで寝ていた梅吉が、入れろ!とノア子のドアをひっかく。
ドアをあけると、もの凄い勢いで飛び込んで来た。
あれ!?していたはずのリードが外れてる…
大興奮の様子。
ハアハアしてお目々がランランとして明らかに「なにかあったな?」。
「かあちゃん、きいて!きいて!あのね、、、、、、」って表情なんだけど、何があったかまでは察知できない。
梅吉が入って来たあと鹿の鳴き声がやんだので
「しかさんとあそんできたの?」
「とおくまでひとりでさんぽしてみた?」
「それともゆーふぉーにのってきた?」
まぁ、親の目の届かないところで自由になって、ナニカを体験したのでしょう。
無事に帰って来たので(そもそもドコカに行ったかどうかもわからないけど)良かった良かった。
今回宿泊したのは、登山者用駐車場。
背後が一面鹿のたくさんいる山。
この建物はなんだかわからなかったけど、トイレではありまへん。
はっぱのぐそが出来ればトイレも必要なっしんぐ。
川は無いけど、気持ちが良くてけっこうのんびりした。
せっかくだから行ってみましょうか
しかし、、、、、かなりの坂道、、、
しかも、、、、、まだまだ階段は続くらしい、、、
というわけで入口で挫折。
またお蚕様のお導きでもあれば別ですが、着物登山(しかも石畳)はもういいっす…
というわけでー
さぁ今日はここからですよー!!
群馬に入ったら絶対行きたかった
その名も『蚕糸館』さんですーーーーーーーーーーーーー!!
といってもただTwitterでたまに流れて来るブログを読んだり読まなかったり
どんな施設なのか工房なのかなんなのかも知らず詳しく調べもせず「群馬には蚕糸館というところがあって、すごく気になる」という程度でふらりと寄ってしまった…
着いたはいいが、扉をあけてみようとしたら閉まってた。
「やってないみたい」
「そっか、じゃあ仕方ないね」
と、次にどこに行くか、どうやって行くか車の中で検討していると…
中からひとが出て来たので夫も車から出て、おはなしを。
見学出来る工房(自宅兼)ではあるが、通常は予約制とのこと。
そーだよね、そりゃそーだ!
しかし、今回は見学させてもらえると!!!!
奇襲しちゃってすいません、ありがとうございます!!
まずは養蚕部門、旦那様の案内で工房の目の前の桑畑へ。
えええええええええええええええこれが桑の木!?アスパラじゃないの!?
わたしが知っている桑の木は山の中の自然児、巨木ばかりだったのでこれには衝撃。
そうかーやっぱり「葉」を効率良くとるためにはこうして剪定が必要なのよねー。
それにしても5月でこんな状態で葉っぱ間に合うんすか???
(桑はめっちゃ成長が早いんだって!!)
そしてこの桑畑だけでも足りないんだそーだ。
すごいな…どんだけ食うんだ、蚕…
養蚕農家になるつもりは無いけれど、ある程度の蚕を飼うとなると自生の桑の葉を採って、なんてやってらんないんだなぁ。桑畑が無いと無理なんだなー。
欲しいなぁ、、、、桑畑、、、、。(ムラムラ)
次に実際にお蚕様を飼育するハウスへ。
この時点ではお蚕様はまだ来ておらず、いろいろ準備中。
お蚕様は農協(や業者)が卵を孵化させて、3令(2回目の脱皮終了後)の時点で農家さんのところにやってくるのだ。
この緑の枠がスライドして給餌がしやすいようになっている。
うーん、当たり前だけど「養蚕農家」となると規模がデカい。。
ダンボールの中で200頭飼ってるのとわけが違うわ…
数万頭飼う、その規模がいろいろ想像ができない…
さて、いよいよ素敵な古民家の中へ。
おじゃましまーす!!
『碓氷社五人娘製鋳糸』やーん、これ素敵〜♡
この姿、復活させたい!
碓氷製糸は群馬に現存する製糸工場で日本の絹糸の50〜60%はここで作られているそうな。
ふと窓を見ると…
なんと美しく輝く生糸が!!!!!
これが最近の大ヒット蚕「プラチナボーイ」の糸だっせ!奥さん!
名前のとおり、オスだけの繭を使ってるんだっせ〜!びっくりでっしゃろ〜(誰)
はぁ、美しい。
これが、虫が吐いた繊維だなんて…神秘としか言い様が無い。
その虫が吐いた繊維に、何故こんなに心惹かれるのかも不思議。
蚕マジック。
プラチナボーイには物語がありまして
こちらの本で蚕飼育から染織、着物まで、作り手の情熱を感じることが出来ます。
さて、二階にも。
二階の窓には
ん?滑車??
この滑車と箱は、さっきのハウスからここまで蚕を運ぶためのものなんだそーです!!
うわー、やっぱり大掛かり〜!!
運ばれたお蚕様は、回転まぶしへ。
回転まぶしは展示物は何度も見てるけど実際使っているものは初めて見た。
回転まぶしとは、蚕の「上に登る習性」を利用した、繭を作る寝床のようなもの。
蚕が繭を作るために上へ上へ行くと、その重みでくるっと回転して、上下が逆になり、また蚕は上へ行き、まんべんなく埋まって行くんですな。知恵ですわ。
昔は藁を編んだ「藁まぶし」だった。
集繭効率は悪いけれど、お蚕様にとってはこちらのほうが営繭しやすい。
作ってみたい。。。。
繭の数もさすがでござる。
これで何粒くらいなんだろう?
わたしはとりあえず、着物一反織れるくらいの数は飼いたいなーと思っていて。
蚕の品種にもよるだろうけれど、まぁ3,000頭くらいは頑張りたい。
それってどのくらいの規模なのか。。。。
さて、養蚕部門から、お次は奥様の実際の座繰りを!!!!!
見せていただくことにーーーーーーーーーー(´Д` )はぁはぁ。
工場とは違って個人でやってらっしゃるので、いろいろ工夫がなされていて、もの凄く参考になる。
真剣です。そりゃもう、真剣ですよ。
しかし、実際のところはなんか興奮しすぎて、覚えてない…だめじゃん、おれ。
道具なんかもひととおり見せていただきました。
そして我が家にあるのは座繰り機ではなく、糸巻き機だということが判明。
薄々気がついていたのだけど、やっぱりそうだった…。
そりゃー枠もゆがむっちゅーねん。
無知ってコワいわ〜
年々、数が減っている「撚糸屋さん」。
生糸を撚って、織りなり縫いなりの糸にしてくれる業者さん、だんだん単位が少ないと頼めなくなっているそうで
工場にあった撚糸機をカットして使ってみているそうです。
うーん、撚糸ばっかりは手作業でどーにもこーにもなんでしょうか〜。
わたしもスピンドルで頑張ってみたけど気が遠くなり過ぎたよね。
撚糸屋さんがいなくなると日本の絹業界はどうなるのだろうか。
生糸で頑張るか。
いやー、本当に突然の来訪に関わらず、とっても親切にいろいろ教えて下さいました!
ココでの出逢いが、また次のオモシロイ出逢いに繋がるのですが、、、
それはまた次の旅のはなし。
東さん、ありがとうございました!
次はじっくり、本気で、研修に来たいと思います!!
夫婦で養蚕と糸づくりしているのが我々により身近にすごく勉強になりました。
ふたりの優しいお人柄が、あの繊細な糸を作るんだろうなぁ。
わたしたちが作る糸は…なまら個性的になりそうな予感www
蚕糸館さんを出て、次はシルクフォーラムで出逢った、群馬で自然塾寺子屋をしているという方に会いに行ってみましょう!
ここは寺子屋をやりたいおとうちゃんの学びだね!
途中、公園があったのでランチを。
ナニ作ったか忘れちゃったーw
どうでもいいが、群馬、暑いぞ…
長野が寒かっただけに、異常に暑く感じる。
そうだ、群馬は灼熱の土地でもあったっけ…
で、目的地に到着しました。
あらーん、すてきーん♡
観光案内所でもあり、カフェでもあり
県から管理を委託されているここのオーナーさんが、その寺子屋をやっているのでありますが、商売繁盛で人が途切れずなかなかお話を伺うことができまへん。
連休だし、ひとりで切り盛りしてるし、仕方ないっす。
ここはまったりタイムを楽しみましょう♡
二階は 開放的な広間でそれこそ寺子屋的な感じ。
ホワイトボードやプロジェクター&スクリーンもあって、講座なんかも出来るんだね。
帰り際に、寺子屋オーナーさんと少しお話出来たみたい。
参考になったかな?おとうちゃん?
養蚕農家に育った私はお蚕さまの「ありがたさ」は分かっています
これからの養蚕がどんな風になって行くのか楽しみです
…これはわたしへのメッセージでしょうか。
楽しみにされているので、頑張らなくちゃ!
さて〜〜〜〜〜〜次はどうしよ〜か〜
さっき、蚕糸館さんで聞いた染料の植物園にでも行ってみるか〜
と、到着した高崎市染料植物園。
…
…想像(建物の中に数種類あるくらいかと思ってた)よりかなり広大…
登山とは言わないが、、、、トレッキングコース並の感じ…
しかーし!
足を踏み入れたら、そこは「全てが染料」の世界。
びっくり、ビックリ、吃驚!!!!!!!
このヒノキは
こんな色に染まるんだって!!!!!!
ここにある植物全てにこういう説明があるの!
凄すぎるーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!(また大興奮)
うんうん。深く頷く。
園内はそれぞれテーマがあって、
例えば『飛鳥・奈良の道』には
飛鳥時代には、大陸から伝わった優れた染色技術によって高度な染色品が作られるようになり、色や冠によって位をあらわす冠位制度が定められたことで、様々な色が求められ染色の発達を促しました。法隆寺や正倉院などに残されている染織品は、今日になってもすばらしい色彩を見せてくれています。この時代の道には、ベニバナ、アカネ、アイ、ムラサキ、クチナシ、キハダ、スギ、ハンノキ、ヤマモモなど30数種の草木が植えられています。
『平安・鎌倉の道』には
大陸文化から離れ、日本独自の文化が築かれた時代です。源氏物語や枕草子などに描かれるように、公家たちは様々な衣装を重ねてその組み合わせを楽しみ、あでやかさを競い合っていました。華麗な襲の色目、合色目・織色などがあります。初期に編纂された「延喜式」には、当時の染料植物や媒染料などが記されていて古代染色を研究する人々の唯一の文献です。
また、合戦絵巻に見られるようなよろいなどにも華麗な色が使われていました。武家社会へと移り変わっていく鎌倉時代にも傾向はつながっていきます。この時代の道には、シラカシ、ニッケイ、ウメ、ヌルデ、クララなど30数種の草木が植えられています。
『室町・江戸の道』には
室町時代になると藍の葉を発酵させて作る「すくも」の製造が始まりわが国独自の技術として加温する藍建が発明され、藍染が1年を通じて染められるようになりました。同じ頃日本に綿が入ると栽培が盛んになり藍が木綿によく染まることから急速に藍染が普及しました。藍染は庶民の色として江戸時代を代表する色になりました。またアジア南部から多くの熱帯植物が渡来し新しい色彩が加わりました。イチイ・ヨヨゴ・モッコク・ナンテン・カシワ・ズミ・クマノミズキ・コブナグサなど30数種の草木があります。
『現代の道』
明治中頃に合成染料が輸入されると、急速に普及し染色といえば合成染料を指すようになりました。その間にあっても植物学者らによって研究が続けられていましたし、戦後伝統工芸が見直されたり近年の自然指向とも相まって関心がはらわれてきています。この道では、明治時代以後新しく開発された染料植物を見ることができます。ビワ・アンズ・ウワミズザクラ・シロヤマブキ・ハコネウツギ・ヤブマオなとの草木30数種の草木があります。
他に『繊維植物の小径』なんてものもあって
流石に大麻は無かったけどw
藤やシナなんかはありました。
あっ、紅花ちゃんもー♡
何気に歩いてるけど、マジでかなり広い。。。
結構、へとへと。
梅吉も今日はずっと車でお留守番、お疲れ様!
暑いし、大変だったね…
とーちゃんかーちゃんもお疲れだし、なんなら、このままこの駐車場で泊まってもいいか〜?と思ったけど、
ここには梅吉ゾーン(緑地)が無いし、今夜の酒を仕入れてないし、
とりあえず移動しましょう。
今までゆだねきる効果で順調にナイス宿泊地を見つけられていたのだけど、
今夜はなかなか発見出来ず…
ここでもない、ここでもない…
なんだろ、疲れてるからセンサーが働かないのかな…
もう、今夜はおとなしく道の駅にしよう!
気がつけば群馬を出て栃木入り。
地元スーパーに寄り、地酒とおつまみなどをげっと。
スーパーの敷地内にコインランドリーがあったので、12日目にして洗濯。
和装だとそれほど洗濯は必要ないのだけど、お洋服は借り物なのでね。大切にしなくちゃ。
地ビールは無かったけど、地酒とそら豆焼きがうまかったな〜
梅吉もおつかれちゃん!
しかし、道の駅はやっぱり音がうるさいな。。。
鹿の鳴き声は気にならないのに車の音は気になるね。
今日も盛りだくさんな一日、魂の御馳走で満腹だね〜
いっぱい学んで次に活かそうね〜〜〜
あしたはなにがあるかな?
おやすみなさい。
つづく。