あ し あ と 。

生きてます。自由に。

チセを建てる〜その三 茅を刈る

二回目となるチセづくりワークショップ

 

次は「茅を刈る」!!!!!

 

なんと単純な響き!!

 

ていうか、みなさん、茅って知ってますか?

なんとな〜くイメージは出来ると思いますが

「これが茅です」と指差して人に教えられますか?

 

わたしはススキとの違いがわかるまでしばらくかかったし

なんだったら遠目に見て枯れたセイタカアワダチソウすら「あれ茅か!?」と言っていたくらいです。

そもそも、どこに生えているの、茅。

 

 

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ちなみにこれがススキ。ふぁっさーとしている。

 

 

今回WS開催にあたり、『茅力』をつけるべく田舎ドライブ時は茅を探す努力をしました。

元々動体視力は良いほうなんで「む、あそこに茅発見」と見つけることは出来るようになりました。

さらに、「このへんには生えているであろう」とあたりをつけることが出来るようになり

さらに、「あの茅は状態が良い(太くて長い)ぞ!」上質な茅をチョイスする眼が育ちました。

 

この2ヶ月でかなりの茅ハンター(ただし見つけるだけ)に!!

 

さぁっ、あとは刈って刈って、刈りまくるのみ!!

 

 

 

 

 

満を持して、とうとうやってきたWS当日!

 



 一回目に参加していないかたもおりますので、チセとはどういう建物なのか

実物を見学しながらポンペさんに解説していただきます。

 

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そして!!!!

茅場へ移動です。

集合場所から車で約20分、広がる牧草地にその茅場はあった!!!!

 

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これが茅。さっきのススキとは迫力が違う。

 

この茅場に出逢えたのも素晴らしいお導きでありました。

 

そもそもは、鵡川の河川敷で行う予定だったのですが、なんせ遠い、

近場で済まそうとすると密集しているところは殆ど無く、大人数で刈るには適していない(車で移動しながら刈り進めていかなければならない)。

 

レラさんの勧めにより他を当たってみることにしたところ

現地をうろうろしていたら知り合いの酪農家さんが今回の場所を紹介してくれ、

開催直前に、鵡川よりもずっと多く群生していて近い、最高の茅場と出逢うことが出来たのでした!

 

 

 

 

 

そして、

直前の出来事、茅刈りとは無関係のようで

これも大切なことのような気がしているので記しておきます。

 

 

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WS前日はカムイノミだったので、我々は今回も前日入りして参列。

カムイノミ終了後は木の皮むき作業に入る予定だったのだけど

いつも一緒に参列する方が、「これからレラさんと三段滝へ行く」と言っているのが聞こえた。

そこは茅場からも近く、以前その滝のことを聞いたときに気になっていたので

「一緒に行くかい?」と聞かれ「はい!」と即答。

気がつけば夫も、他の参列者さん数名も行く事になり

車2台で三段滝へ。

 

ここもその昔、龍神が守るコタン(村)だったのだけれど、例によって開拓されその後は荒れ地として放置されている場所。

 

密かに供養を続けている方が撮った一枚。

 

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見事な白龍が遡上している



今回は男性も4人もおり、ちゃんととカムイノミをしようということになり

まずは火を起こすも

 

これが全く着かない。

 

ブッシュクラフトインストラクターでもある夫をはじめ

いつも火起こしくらいパパッと出来るメンバーなのに、

全く火が定着しない。

ライターもがんび(白樺の皮)も小枝も豊富にあり、普通にわたしでも即着火出来る環境なのに、、、、、

 

寒い中立ち尽くす女性陣。

凍えちゃうよ〜早く着いてくれ〜〜〜〜〜!!

あまりの苦戦ぶりに「なかなかお許し出ないねぇ」と苦笑いのレラさん。

 

あぁ、、そうか。

あの、新十津川アイヌの碑の前でスズメバチが偵察に来た事を思い出した。

龍神様に試されてるのかな、わたしたち。

 

20分くらいはかかったと思う。

やっと火が付き、カムイノミが始まった。

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男性陣が並んでオンカミ(礼拝)。

このとき、綺麗に全員の手が合っていたそうで

レラさんがその後も何回も「あのオンカミは見事だった」と呟いていた。

 

無事カムイノミが終わり、その後木の皮むき作業を2時間くらいやって、

その日は終了。

 

 

 

この、茅場の近くの滝で、龍神様に挨拶出来た事は

その後のチセづくりに影響が無いわけないとわたしは思った。

 

 

 

 

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そんなことがあった翌日、WS開始!

 

 

いよいよみんなで茅刈りをはじめますよ。

 

全員で茅場の前に並び、「わたしたちのチセにつかわせてください」と男性陣がオンカミをして、挨拶をします。

 

ふと空を見上げると見事な彩雲が!!

 

 

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うわーーーーー!!

しょっぱなから応援されているようで、嬉しい♡

 

この日の写真は不思議なくらい「光」が入り込んでおりました。

 

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さて、あとはですね、正直、特別書く事はないんですよ(笑

刈って、刈って、ひたすら刈って、だけなので。

 

写真を交えつつ、ご報告を。

 

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茅はやはり川や沼など「水場」の周りに生えていることが多い。

ここは用水路の付近一帯に生えておりました。

 

2mはあるかと思われる、太くて真っすぐ、頑丈な立派な茅。

逆に細くて短くて弱い茅もあるので選別が必要です。

 

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だだっ広い牧草地に入っての作業なので、おトイレに困るといけませんので

夫はタープを使って簡易トイレを設営しました。

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結局誰も使いませんでしたが…

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今回は小さなお子様の参加もあり!

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なんと、Myカマを持参での参加です。頼もしいーーー!!

 

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多分、人生初の、もしかしたら最後になるかもしれない、茅刈り体験!

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ざっくりと工程を説明いたしますと。

 

茅をカマで刈り取り

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他の草木や不純物を取り除き、根元を合わせてまとめていき

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ひとかかえくらいの束になったら紐で二カ所結びます。

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ほら、ポンペさんにも光が

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はいっ、一束、こんな感じー!

茅って想像より大きいでしょう!

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はい、ひたすら刈って、束ねて、運ぶ!!

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暖取りのためにもアペフチに居ていただきたいので火も用意しておりました。

ここでちびっ子むけブッシュクラフト体験。

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ナイフを使って、薪を割ってみよう!

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暖をとりながら、休憩しながら、ね。

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からだが温まる、セタエント茶を用意しておきました。

 

いや〜火って大切!

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お昼をはさんで午後ももりもり

光に守られながら作業です。

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 一日目は時間も短く、初体験の手探り作業で効率も悪いので(それは後々上手になってきたからわかったことですが)

数束の茅をトラックに積み込み

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日が暮れてしまう前に、一日目の作業は終了。

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その後は希望のかたは近くの温泉にてカラダをあたためていただき

 

夜はみんなでアイヌ料理を作って食べよう!!

 

 

「お手伝いしたい!」と手をあげてくれたので、

鹿肉カットをお願い。とっても上手に切ってくれました!

これはユックオハウ(鹿肉の汁物)になります。

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コンブシトのシト(団子)作りもお手伝いしてくれました。

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みんな、丸めるの上手だね!

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せっかく並んだ料理を写真に撮るのを忘れました…痛恨のミス!

忙しく動き回っているとそういうことが多いのです。

記録班をちゃんとしなくてはいけませんね。

 

 

みんなでアイヌ料理を食べたあとは

実際にチセを建てている様子を収めたDVDの鑑賞会。

 

メモを取り、真剣に観るかた

疲労&温泉&満腹のトリプルにやられ居眠りしちゃうかた(しかたない!!)

 

その後は

なんと

ポンペさんのスペシャルライブ〜〜〜〜!イエーイ!!

 

 

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小さなお友達もリズム隊で参加

 

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ポンコリ&トンコリの共演も。

 

 

トンコリとは樺太アイヌの楽器であるという説から、ポンペさんは自作のものをポンペのトンコリ、「ポンコリ」と呼んでいます

 

 

楽しい時間も終わり、就寝タイム。

 

 

チセ組はここからチセへ移動し、極寒のチセ&アペフチとの対話を愉しみます。

別荘組はこのままぬくぬくと(笑 ライフラインの整った家にておやすみなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて

 

この夜、ちょっとしたハプニングというかトラブルというか…

 

が発生したのですが

 

ここで明記してしまうと特定の個人を攻撃することになりかねないので、今回はスルーします。

 

 

別の機会にこのことはしっかりと書いておきたい。

 

 

 

いま、わたしが「ある想いを胸に」やっていることは、誰しもが同意してもらえることじゃないのは重々承知だし

意見が合わない、押し付けられる、対立する、攻撃してくる、そういったことはこれからも多々あるかもしれないわけで

 

わたしがこの先コタンをコミュニティを作る上で、そういう場面でどうするべきなのか、とても大切な体験だったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌朝。

 

 

 

朝食前に少し作業を進めたかったので本日の作業の前に木の皮むきなど。

 

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倒しっぱなしの木がまだそのままに雑然としており

 

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皮むき作業と共に少しずつ枝払いや片付けなどもしなくてはなりません。

 

 

 

果てしなく続くと思われる作業に心が折れそうになりますが

「自分もやりますよ!」と自主的に手伝ってくれるかたが多く

当然ですが実際に手伝ってくれる手の数が多ければ多いほど作業効率は良く

「もしわたしたちふたりでチセを建てるとか言ってたらどうなっていたのだろう」と想像もしたくないほどにw

本当にみなさまにココロ救われております…(/ _ ; )

 

参加者さま&お手伝いしてくださるみなさまには感謝しかありません!!!!!

 

 

 

 朝ご飯を済ませて本日も茅場へ移動

 

 

 本日も同じくひたすら

茅刈って〜運んで〜

まとめて綺麗にして〜

束にして〜

を黙々と。

 

 

 

 

 

していたら

 

 

 

 

なんと

 

雪が降ってまいりました!!!!!!

 

うそーーーーーーん

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日高は雪が少ない地方ですのでちょっと驚きです。。。。

 

 

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雪が降りつつ光が射しつつ

 

うわー、こんなに降るなんて珍しいねー、なんて言えているうちはまだ余裕だった…

 

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みんな、、、だいじょうぶ?



あっっっっっっっっっ

 

 

 

という間に

 

 

 

あたりは真っ白

 

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ここはホントに日高の平取町ですか?

という疑問も思う間も無く作業は続き

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なんとかかんとか、二日目も終了。

 

 

あまりの事態にこの日もまた大切な写真を撮っていなかったりするのですが(余裕が無くて)

 

みんなで感想を述べながらランチをしたり

 

雪の中団結して作業したりしたんですよー

 

 

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あっというまに白くなった茅場

 

 

 

昨日まで晴天で作業できたのになぁ、、、、、

なんで今日は雪が降っちゃったんだろ、、、、、

みんな寒くて辛かっただろうなぁ、、、、、

 

 

 

そんな風に思ってしまっていたわたしだったけれど

 

そうじゃないんだよ、って

 

みんなの言葉を通して知る事が出来ました。

 

 

 

「ウパシ(アイヌ語で雪)が応援に来てるじゃないか」

ポンペさんがすぐにそう言ってくれました。

 

そうだった、わたしはウパシだ、

ここに雪の精霊が舞い降りて、茅を強くしてくれているんだ。

 

茅は、立ち枯れの状態が一番強い。

「夏に刈ってはいけないのですか?」と参加者さんにも聞かれたけれど

枯れていないと腐ってしまって保存が出来ない。

大地が眠りにつく頃、草木が次の生命を繋ぐ前に

その年の一番命の源が集まった状態のものを、使わせていただく。

 

産まれた土地で雪が降った事で、この茅は

違う土地に行ってもその強靭さが保てるだろう。

 

そのために、ウパシは、雪は、降ってくれたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここでこんなに雪に出逢えるなんて、逆に嬉しいです〜」

 

参加者さんもこんなふうに言ってくれた。

 

今回は遠くは鳥取、東京、山形、道内でも網走から札幌まで多くの人が集まってくれた。

雪が珍しい地方からでは無いにしても

ここ日高地方でチセを建てるための作業のときにこれだけ雪が降る、というのは

少し感動ものだったのかもしれない。

 

 

 

 

 

ありがとう、ウパシ。

 

さっきまでちょっと邪魔者にしちゃって、ごめん。

 

 

 

この雪のおかげで、団結力も強まった気がする。

 

 

 

 ほんとに、なんだかバタバタで最後に集合写真も撮れなかったのですが

参加のみなさま、ありがとうございました!!!

 

解散した後、今回刈った茅をそのままチセを建てる新十津川へ運びます。

 

想定外の雪に、トラックの運転もヤバし…

日高富岡から、ぐるーーーーっと札幌を経由して滝川まで行くという、

なんとも無駄というかもったいないコースになってしまいましたが

慣れない借り物のトラックで峠越えは危険すぎるので致し方無し!!

 

新十津川もどえらい雪です!

ま、それは想定内。

 

疲労もMAXですが

最後の力を振り絞って!!

 

 

トラックから

 

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バケツリレー方式で

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納屋に運び込む!!

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刈って刈って刈りまくったあとは、

積んで積んで、積みまくれ〜〜〜!!!!!!

 

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ここでも札幌チームが「手伝いますよ」と言ってくれ、わざわざ新十津川まで一緒に来て作業してくれたから思いのほか早く終了しました。

 

もう、ありがたいことありがたいこと。。。。

 

 

 

 

 

見上げると見事なお月様。

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あぁ、明日は満月だ。

 

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チセが建つ、その場所の上に輝く雪とお月様。

 

はぁ〜〜〜〜

 

美しくてため息が出る。

そして、疲れも癒される気がするよ…

 

 

 

あれ

お月様が細胞分裂しているよ…

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参加者さんたちのお心や実際のお手伝いはもちろんですが

 

いろんな存在達が

沢山のカムイが

 

見守って応援してくれていることを

ひしひしと感じる

 

ひたすら感謝、感謝、ありがとうございます

 

そんな茅刈りWSでした。

 

 

 

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WSとしては終了しましたが

作業としてはまだまだまだまだまだまだ続きます!!


そしてそれがまた日々素敵なことが起こって

チセを建てる、その恩恵たるや!!なのです。

 

それはそれで、報告しまっす☆

 

 

 

 

 

 

 

つづく