チセを建てる その一〜許可を得る
いよいよ始まります。チセづくり。
いよいよなんだなぁ。
本当のことなんだなぁ。
いまだ、夢みたい。。。。
さて、いよいよ建てるといっても
まずはやることがあります。
日本式なら地鎮祭から、でしょうが
アイヌ式ではまず「許可を得る」ことからです。
この土地の、この場所にチセを建てても良いか?
カムイにお伺いをたてる、『夢見の儀式』を行います。
まずは一番大切な幣場をどこにするか。
カムイの拠り所となる幣を並べる場所を決めてから、建物の位置が決まります。
幣場があり、神窓があり、炉から土間と入口が続きます。
この時点で幣場は東向きのレラさんがカムイノミをした場所を幣場としました。
カムイノミを行うために、まずは三脚づくり。
中川エカシが川から柳の木を伐って来て、素早く拵えます。
家の大きさはだいたい三間×四間。
測って、家の四隅を決めます。
家の炉にあたる場所に三脚をたてます。
三脚に、これもささっと拵えた炉鈎をつるします。
炉鈎の下に火をおこします。
ここに、アペフチカムイに来てもらいます。
チセづくりに関係する全ての人が並んでカムイノミを行います。
神々に祈りを捧げ、この場所の使用許可を願います。
無事に終わり、ホッと安心。
この後、7日間、参列者が悪い夢を見なければ許可がおりたことになります。
7日間でわたしの唯一覚えている夢は
以前住んでいた家(近々取り壊されることになっている)に
いろーんなひと、親しい友人からそうでもない知人、芸能人にいたるまで、がその家とまわりにウロウロしていて
別に特別ピースフルなわけじゃなく、喧嘩したり嫉妬したり怒ったり人間として生々しい感じが印象に残る、そんな夢でした。
悪い夢ではありません。
わたし以外のひとも楽しい夢をみたり全く夢を見なかったりで
この場所での許可は無事おりたようでした。
ですが。
この時点で幣場は東向きのレラさんがカムイノミをした場所、としましたが
その後いろいろ調べたりするうちに東向きとは限らないこと、
川上に向かって、あるいは何に重きを置くかで方向が変わることなどを知り
この土地であればピンネシリに向かって(必然的に川上に向かう)のほうがしっくりくるような気がしています。
その場合(場所を変える)は再度夢見の儀式をするようなので、建てる前にまた行うかもしれません。
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建てる場所の許可がおりましたら
次は使う樹々の許可をいただきます。
今回木の伐倒をお願いした、里山部
の、清水さんと共に、倒す樹々の下見。
すぐ隣にはアパートと車が並び、逆にはプレハブが…( ;´Д`)
森の中とはまた違う環境、プロきこり清水さんの手腕が発揮されます!!
さて、この樹々の現在の持ち主であるレラさんから、木への祈りの仕方を習い
カムイノミを行います。
トゥキ(酒器)に御神酒を入れ、イクパスイ(棒酒箸)で木に酒を捧げ
米と塩も捧げ挨拶をして行きます。
森の中を歩き
わたしたちのチセに使わせて下さいと
一本一本の木に挨拶とお願いをすると
静かに眠っているかのようだった森が
次の役目を果たすために目醒めて
明るく輝いた瞬間を目の当たりにしました。
木達は納得して
伐っても良いと
許可を出してくれたのでした。
許可した木々は、その時から根からの吸水を止め、伐りやすい木になってくれるといいます。
森の中に居た樹々は
伐って倒れた瞬間に
シランバカムイ(森の神)から
チセコロカムイ(家の神)へ
管轄が代わります。
ありがとう。
あなたたちと一緒に
これからも森を木を守りながら
チセとともに暮らしていきます。
レラさんに教わった木へのカムイノミのことば
ニ コロ カムイ チセ アコロ カムイ
チセ コロペ キノクニサトシ、ユキコ アンルェネ
エアニ コロ シランバカムイウタリ エプンキネ アンルェネ
ピリカ ラマツ コロ エンコレヤン
エプンキネ オリパク オンカミ アンナ
木を持つ神よ チセを持つ神よ
チセを持つ者は 紀國聡と雪子と申します
あなたの持つ森、木の神の仲間を
良い心で守りますので
どうぞ、わたしにお渡しください
どうぞ、お守りください
謹んで礼拝いたします
全てが終わった瞬間、
ほんとうに森の中の空気が変わったのです。
穏やかな、優しい氣に満ちあふれていました。
はてなでは動画のアップロードが出来ないので
清水さんがアップしてくれたFacebookでの動画をどうぞ。
こんなふうにして、一本一本に挨拶をしました。
清水さんも。
夜は夜で、チセの中でカムイノミ。
捧げる食べ物とお菓子と果物
明日からの作業が無事に進むよう祈りを捧げます。
シランバカムイ
チセコロカムイ
アペフチカムイ
今日はありがとうございました
明日もどうぞお守りくださいますよう
そして
当然のことながら(!?)
このまま酒宴となりまして。
チセで炉の火を眺めながら語る最高の時間。
木達が納得してくれて、良かった。
きっと素晴らしいチセが建つはず!
素晴らしいチセになるよう
わたしたちも精一杯がんばろうね!!
つづく